鹿谷会計/鹿谷総研

ケース4 配当控除がある場合

顧問先からの質問 総合課税で申告する配当所得があり、所得税は配当控除によって0円になります。 本ソフトが表示した上限額50,000円を寄附すると、 自己負担額が4,450円になるのはなぜでしょうか。
ふるさと納税_配当控除がある場合のシミュレーション結果

1. 数値例と計算結果

営業等の所得500,000円と、総合課税で申告する配当所得2,000,000円がある例です。 所得税は配当控除によって寄附前後とも0円になります。 この例では、住民税の特例控除額の20%上限によって、制度上の上限額が決まります。

計算に使用した主な金額 所得税 住民税
営業等の所得 500,000円 500,000円
配当所得 2,000,000円 2,000,000円
基礎控除 1,040,000円 430,000円
寄附前の課税所得 1,460,000円 2,070,000円
寄附前に実際に使われる配当控除 73,000円 56,000円
住民税の特例控除割合 84.895%
制度上の上限額(1円単位の計算値) 50,177円
本ソフトが表示する上限額(千円未満切捨て) 50,000円
寄附額 所得税等の減少 住民税の減少 税金の減少額合計 自己負担額
50,000円 0円 45,550円 45,550円 4,450円

自己負担額は、50,000円-45,550円=4,450円です。 寄附金控除によって配当控除前の所得税は2,400円少なくなりますが、 実際に使われる配当控除も同じ2,400円少なくなるため、 配当控除後の所得税等は寄附前後とも0円です。

<ふるさと納税上限額/自己負担額 シミュレーション結果の帳表>
ふるさと納税上限額/ふるさと納税自己負担額|シミュレーション帳表

2. 会話で確認

顧問先 寄附金控除を使っているのに、なぜ所得税等の減少額が0円なのですか?

鹿 谷 寄附前の配当控除前所得税は73,000円で、 実際に使われる配当控除も73,000円です。 このため、配当控除後の所得税は0円です。

顧問先 50,000円を寄附した後はどうなりますか?

鹿 谷 48,000円の寄附金控除により、配当控除前の所得税は70,600円へ下がります。 しかし、実際に使われる配当控除も70,600円へ下がるため、 配当控除後の所得税は引き続き0円です。

顧問先 所得税で減らない分は、住民税で全額補われないのですか?

鹿 谷 住民税では、基本分4,800円と特例分40,750円の合計45,550円が減ります。 所得税等の減少額は0円なので、寄附額50,000円との差額4,450円が自己負担額になります。

顧問先 50,000円は制度上の上限額以内ですか?

鹿 谷 はい。1円単位の計算値は50,177円です。 本ソフトは千円未満を切り捨てて50,000円と表示しています。 次の千円単位である51,000円は上限を超えます。

顧問先 配当控除がある場合は、必ず所得税の減少額が0円になりますか?

鹿 谷 いいえ。配当控除後にも所得税が残る場合は、 寄附金控除による所得税等の減少が残ることがあります。 配当控除の有無だけでなく、寄附前後の最終税額を比較します。

3. ずれが発生する流れ

順序 確認内容 この例の結果
1 寄附金控除額を求める 50,000円-2,000円=48,000円
2 配当控除前の所得税を比べる 73,000円から70,600円へ2,400円減少
3 実際に使われる配当控除を比べる 73,000円から70,600円へ2,400円減少
4 配当控除後の所得税等を比べる 寄附前0円、寄附後0円のため減少額0円
5 住民税の減少額を確認する 基本分4,800円+特例分40,750円=45,550円
6 最終結果 税金の減少額45,550円、自己負担額4,450円
寄附金控除によって配当控除前の所得税が少なくなっても、 使える配当控除額が同じだけ少なくなれば、 配当控除後の所得税等は少なくなりません。 控除前の所得税ではなく、配当控除後の最終税額を照合することが必要です。

4. 所得税額と住民税額を照合

所得税等の計算

項目 寄附前 50,000円寄附 減少額
寄附金控除額 0円 48,000円
所得税の課税所得 1,460,000円 1,412,000円
配当控除前の所得税 73,000円 70,600円 2,400円
実際に使われる配当控除 73,000円 70,600円 2,400円
配当控除後の所得税 0円 0円 0円
復興特別所得税 0円 0円 0円
所得税等の合計 0円 0円 0円

住民税の計算

項目 寄附前 50,000円寄附 変化
調整控除後の所得割額 204,500円 204,500円 0円
配当控除 56,000円 56,000円 0円
寄附前の差引所得割額 148,500円
寄附金税額控除・基本分 0円 4,800円 控除額4,800円増加
寄附金税額控除・特例分 0円 40,750円 控除額40,750円増加
寄附後の差引所得割額 102,950円 税額45,550円減少
<所得税・住民税の軽減額 シミュレーション結果の帳表>
所得税・住民税の軽減額|ふるさと納税シミュレーション

5. 上限額の境界を確認

確認する金額 金額 確認結果
調整控除後の住民税所得割額 204,500円 特例分20%上限の基礎
住民税特例分の20%上限 40,900円 204,500円×20%
20%上限から逆算した金額 約50,177.160円 40,900円÷84.895%+2,000円
制度上の上限額(1円単位の計算値) 50,177円 住民税特例分20%で決定
本ソフトが表示する上限額 50,000円 千円未満を切り捨て
次の千円単位の金額 51,000円 1円単位の上限額を超える
このケースのポイント: 配当控除前の所得税が2,400円少なくなっても、 実際に使われる配当控除も2,400円少なくなるため、所得税等は減りません。 住民税だけが45,550円減る結果、自己負担額は4,450円になります。
ふるさと納税_配当控除がある場合のシミュレーション結果